ディレクターズガイド

Webディレクターを目指す人のためのガイドコンテンツです。基礎知識・必要技術を紹介しているので、皆さんの転職活動にお役立ていただければと思います。

1.Webディレクターの仕事ってどんな内容?

みなさんはWebディレクターという仕事を知っていますか?IT/デジタル業界の人ならまだしも、そうでない人からすると、「あー、名前は聞いたことあるよ。」というレベルではないでしょうか?IT/デジタル業界の人でもWebディレクターの仕事をきちんと定義することは難しいです。なぜ難しいのでしょうか。

その答えは、Webディレクターの仕事領域の広さにあります。Webディレクターは、クライアントに企画の提案をして、受注した案件を制作チーム・開発チームに依頼し、企画したWebサイトを構築するまで進捗させます。案件の中には、サイトを構築した後の運用も引き受ける場合もあります。Webディレクターは企画提案から、制作、開発の進捗確認、クライアントとのコミュニケーションから、出来上がったサイトの運用まで、Web制作の一通りのイニシアチブを握り、クライアント、制作スタッフ、開発スタッフなどの関わる人をチーム化して、ゴールへと導く役割なのです。

ところで、Webディレクターの成果物は何になるのでしょうか?通常、見積もりを作る際には、見積もり項目に提出物、つまり成果物を記載してクライアントと約束をします。工数としてWebディレクションが発生する場合は、当然、見積書に記載が必要なのですが、Webディレクション費用というのは、大抵売上の10-15%という費用感が相場になっているようです。企画は企画書、設計は仕様書、制作・開発はHTMLやCSS、JavaScript、PHPなどのファイルを納品します。Webディレクションは、コミュニケーションコストとして費用に計上されるパターンが一般的です。

結論、Webディレクターは成果物を作ることもあれば、成果物が可視化しづらいコミュニケーションを担当することもあります。例えば、Webディレクターの仕事を「デザイン、プログラミング以外全部」と定義しているコミュニティも存在します。Web制作において、幅広い職域を担当することでクライアントをも巻き込んだチームを組成し、プロジェクトをゴールに導く仕事。これこそWebディレクターの仕事なのです。

2.Webディレクターってどんな人が向いているの?

どのような人がWebディレクターに向いているのでしょうか。Webディレクターの仕事は広く、渉外から企画・プレゼンテーション、解析運用などスキルとして、これさえできれば良いというものがありません。詳細としてはプロジェクトの進捗状況管理やクライアントへのヒアリング、チームビルディングがあげられます。エンジニアのようにプログラムが書ける人、デザイナーのようにデザインができる人という分かりやすく目に見えやすいもので向き不向きを見極めることができません。Webディレクター向けの資格が現在ないのも、そこに起因していると考えられます。

しかし、間違いなくWebディレクターに必要なものがあります。それはコミュニケーション能力です。Webディレクターの役割は広いですが、多くの業務にコミュニケーションを使います。渉外も自社外に対するコミュニケーションです。また、企画・プレゼンもコミュニケーションです。相手に自分の考えをうまく伝えることができ、相手が自分に伝えようとしていることが理解できる能力を求められる場面が非常に多く出てきます。

また、チームリーダーとしての役割もあるWebディレクターなので、チーム内のコミュニケーションも非常に重要です。つまり、エンジニアやデザイナーと話せなければいけません。この時、単純にコミュケーション能力あればできるかというと、そうではありません。Webディレクターはエンジニアやデザイナー達とコミュニケーションをとるために、最新のテクノロジーや、デザインの根拠などについて、ある程度ポイントを押さえておく必要があります。なので、Web全般の幅広いことにも興味を持てるかということも、向いているかどうかの判断基準になるでしょう。クライアントの要望を正確にエンジニアやデザイナーに分かりやすく咀嚼して伝えたり、またその逆も求められます。

Webディレクターにはどのような人が向いているかを、書いてきました。まとめると、「コミュニケーション能力が高いこと」、「幅広く色々なことに興味を持っていること」でした。この2つを持っている方は非常にWebディレクターの適正がある人です。Webディレクターは幅広い立場の人と円滑に物事を進めることができることを強く求められます。そして、そのプロジェクトを成功させるという強い意思を持ち続けることです。

3.企業に求められているWebディレクターとは

今、Webディレクターの企業ニーズは非常に高まっています。それだけWebディレクションを行う機会も増えて、その重要性が増している状況だと言えるかと思います。IT/デジタル業界ではビジネスモデルは大きく変わらないですが、ユーザーニーズや、Webを閲覧するデバイスの多様性により、サービスは日々進化を繰り返しており、企業がWebディレクターに求めている能力や実績も日々変化しています。今、企業が求めているWebディレクターはどんな要素があるのでしょうか?

まずその会社が事業会社なのか、クライアントワークなのかによって、求められる要素が異なります。事業会社ですが、Webにおけるコンシューマ向けの3つのビジネス(広告、コマース、直接課金)の数値をあげることがミッションになりますので、数値が上がる施策を知っているか、体験しているかがとても大事になります。そして、システム、経営層、運用など様々な部署を横断して、調整が必要な場合が多くあり、異なる立場でも同じ認識をもたせるロジカルな思考と、分かりやすく伝えるコミュニケーションが必要です。目的は、数値をあげるためのPDCAを如何に効率よく回転させるかという点が非常に重要になります。時にWeb担当者と呼ばれたりします。

次にクライアントワークですが、上記のような事業会社のアウトソースを担当するのがビジネスになりますので、クライアント先のビジネスへの理解が必須です。クライアントの要望を達成するために、競合や、マーケットの情報、新しいマーケティングの手法や、最新テクノロジーのキャッチアップも大事になります。ここではクライアント以上にサービスへのコミットが必要になる場合もあります。クライアントの要望をきちんと形にして、制作・開発チームに正確に伝えるコミュニケーションや情報管理能力が必須です。また、クライアント、制作スタッフ、開発スタッフをチームに巻き込んでイニシアチブを持ってゴールを目指す指南役としての役割が期待されます。納期遵守の責任感、リーダーシップが最も発揮されるべき能力となります。

ということで、事業会社、クライアントワークと、会社のビジネス構造によって、Webディレクターに求められる能力が異なります。採用のマーケットだと、クライアントワークから事業会社に転職希望の方が非常に多くいらっしゃるのですが、結論転職の難易度は高く、なかなか希望通りにいかないことが多いです。その理由は、このような求められる能力の違いにあるからなのです。また最近ではタブレットの普及により、サービスがモバイルファーストということで、アプリが主流となりつつあり、ネイティブアプリ、ブラウザアプリと、Webの制作過程とはまた異なった環境も存在します。Webディレクターにとって、今企業が求める要素を正確に理解し、企業からオファーがあるような人物像を把握しておくことが大事です。

4.Webディレクターが描くべきキャリアパスとは

Webディレクターになる道はいくつもありますが、Webディレクターになった人は、その後どのようなキャリアパスを描くかわからない人が多いと思います。WebデザイナーからWebディレクターへ。エンジニアからWebディレクターへ。営業からWebディレクターへ。ファーストキャリアからWebディレクターだという人もいるでしょう。ここでは、その後、どのようにキャリアを積んでいくべきかという点で実例をいくつか紹介します。

一口にWebディレクターといっても、職域があまりに広すぎるため、ここでは大きく3つに分けます。1つ目は企画ディレクターです。上流工程と呼ばれるところです。2つ目は制作ディレクターです。進行管理などの仕事が主になります。3つ目は運用ディレクターです。解析ツールを元に、PDCAサイクルを回していく仕事です。今現在この3つあるフェーズの中で何を担当しているかによって、次に進むべき道が決まってきます。

例えば、制作をしているならば、次に運用ディレクターを目指すのが良いでしょう。理由としては、制作とは基本的に、開発予算が前提で進めていくことになるので、利益を残すには、コストを下げることが求められます。数字を上げるという実績としてはアピールしづらいところなので、キャリアアップにつながる実績作りは、どうしても難しくなります。しかし、運用というポジションになれば、自分の施策、アイディア、アクションに対してKPIや結果として利益がついてくるので、分かりやすく実績を生む環境を作りやすいのです。また、運用をしていたWebディレクターは、その経験を持って企画、設計に進むと良いでしょう。上流行程でプロジェクトを企画する実績を積めれば、よりビジネスに近い環境に身を置くことが出来るでしょう。

このように、自分が今どのようなポジションにいて、次にどんな実績をつくれるのか、そのためにどんなスキルや実績を持っているのか、常に意識をしながら行動していくことが重要です。また、次はこの方向に進む、そして次はこの方向という積み上げ式の考え方ではなく、まずゴールを設定し、このポジションになるにはこんな実績が必要、だからこのキャリアを経験するという目的を持った考え方が、キャリアアップするために必要になるのです。

5.年収の高いWebディレクターとは

Webディレクターの年収はどのくらいなのでしょうか。DODA職種別平均年収によると、25~29歳:413万円、30~34歳:484万円、35~39歳:539万円、最高額が1,320万円。ということで比較的高い方の平均年収のようです。Webディレクターの需要は日に日に高まっていて、年収も少しずつ上昇傾向にあるということです。実際にこの年収が高い、低いはどのような理由が考えられると思いますか?

まず、年収を決めるにあたって重要なことは、所属企業の事業PLです。つまり事業の収支です。当然のことですが、企業は利益を一円でも多く作ることが命題なので、売上を上げて、コストを下げて、利益を出す企業努力をします。当然売上が上がれば、給料に充てられるお金も増えます。つまりWebディレクターに限らず、売上を増やせる人が給与を多く稼ぐことが可能です。またコストという意味では、経営企画や管理職など、専門性や役職をもった人はどうしても費用が高いので、専門性を身につける、管理職になるという選択肢も一つの方法論です。

では、Webディレクターで売上を上げていくということはどういったことなのでしょうか。大きく分けて、売上を上げるには、販売数を増やす、顧客単価を上げる、のいずれかだと思います。例えば単価の安いCMSの制作業務を月に何十本も回して、売上を作る方法もあると思いますし、デザイン、システム、マーケティングなど専門特化して、付加価値と共に顧客単価をあげていく方法もあるかと思います。年収が高いWebディレクターは、その分、単価の高い仕事をしているケースが大半だという印象です。しっかりとした企画提案の元、受注する案件の単価を上げていくことが重要です。

単価をあげるということは、それだけクライアントのビジネスに効果のある施策を実施し、自社のPLとして利益を残していかなければなりません。目的を考えるとそのようなロジックを組み立て、実施した実績を基にすることで、年収をあげているWebディレクターが増えてきています。

6.Webディレクターに必要なスキルセット

経営者、クライアント決裁者、システム担当、マーケティング担当など、様々な相手とコミュニケーションを行うため、幅広い知識、見識が必要なWebディレクターですが、最低限必要なスキルセットとはどんなものがあるでしょうか。

まず、どんなWebディレクターになるか、という定義が大事になります。どんなWebディレクターになるか、とは、どんな案件に対応するための準備ができるか、というWebディレクターとしての必要スキルという側面があります。例えば、Webディレクターは実際にプログラミングをしませんが、Web制作で必ず起きるイレギュラーな事態に対応できるように、特徴理解からリスクをきちんと把握し、それぞれ最適な環境を提案し、対応していく必要があります。

また、コミュニケーションは言うまでもない必要なスキルですが、前述したようにWeb制作では必ずイレギュラーな事態が発生するので、その事態にきちんと向き合い対応検討をクライアントと調整し、制作・開発チームと一緒に問題の切り分けをし、迅速かつ正確にイレギュラーな問題に対応する能力は、Webディレクターとして絶対的に必要な能力として挙げておきます。リスクが起きる前にリスク要因を排除して、仮に不測の事態が起きた場合も、迅速に対応できる準備をしておくことが重要です。

Webサイトは思った以上に言うことを聞きません。そして終わりがありません。ある意味、時間をかけてサービスを育てていく必要があります。その際には、通常考えられないリスクまで常に考えておきながら、クライアントも巻き込んだチームをゴールに先導する立場こそ、Webディレクターの役割であり、役割に対応できるスキルこそ必要なのです。

7.Webディレクターに必要な経営者視点

Web制作のプロジェクトは、経営と良く似ています。実際にWebディレクターを経て、個人事業を行なったり、その後、経営者になったりする人も多いかと思います。実際にWebディレクターで経験した能力は会社を経営する際にとても役に立つことが多いのです。クライアントのビジネスを成功させるために、Webディレクターには経営者視点が大事になります。

ちなみに経営者視点とはどのようなことを指すのでしょうか。経営者は多面的な視点が必要ですが、中でも事業は最も大事なことの一つに挙げられます。事業はPLで構成されて、シンプルに売上、コスト、利益で構成されて、基本は売上を増やして、コストを下げ、利益を残します。売上をあげるために、原価として人や設備に投資を行います。更に言うと、経営者の報酬は年間の事業成績を通じた利益から捻出します。ここまでWeb制作と構造は同じだと思いませんか?

Webディレクターの場合も同じで、開発予算をクライアントから預かって、制作・開発チームと一緒に予算内でWebサイトを作り上げ、約束の納期に納品を行なって、利益を残します。優秀なWebディレクターは作業進捗と共に、予算の管理もきちんと行い、制作・開発チームの工数(ここでいう人件費=コスト)をコントロールすることで、プロジェクトの収支をきちんと見ています。納期が間に合わなそうなので、闇雲に開発工数を増やしたり、KPIの達成が難しいので、追加予算で闇雲にプロモーションをしてみたりという場当たり的な対応で、利益を減らすということは、経営で言うと事業が止まってしまう致命的な原因になりかねません。

Webディレクターはプロジェクトで利益を残す必要があります。クライアントのビジネスを成功させて売上をあげ、制作・開発チームと一緒に納品をし、結果利益を得る。またチームを率いてゴールに導くという経営者と同じ以上のリーダーシップが求められます。Webディレクターの仕事はまさに経営であり、経営者視点が必要な職業と言えるでしょう。

8.Webディレクターが知るべきシステムの知識とは?

インターネット技術の進歩によって、規模が小さなサイトや管理画面でも、JavaScriptなど動きのある動作が必要になってきました。このように、日進月歩で進んでいくインターネットについて、Webディレクターはどこまで知っておくべきなのでしょうか。Webディレクターの役割においてどのようにその知識は活かされるのでしょうか。それらについて述べていきます。

まずは、Webディレクターがシステムの知識を必要とされる場面を洗い出していきます。一つはクライアントに対する営業やヒアリングの際です。クライアントの要望に対して、現実的にできるのかできないのか、それがどれくらいの予算になるのかを話せることがWebディレクターには求められてきます。もう一つは、実際に制作、開発していく際に、デザイナーやエンジニアと同じ認識でコミュニケーションを取るために、最低限の基礎リテラシーは必要です。Webの制作プロジェクトにおいて、システムで解決すべきことを、正確にエンジニアに伝えなければなりません。この時にシステムへの理解がなかったとすると、エンジニアが理解しにくい環境を作り出し、結果としてなすべき目的を達成する仕様からはずしてしまう可能性が十分にあるのです。

大きく以上の2つの場面に対して、対応できるレベルの知識がWebディレクターに求められているシステムの知識です。では、このレベルの知識は具体的に何を学べば良いのでしょうか。それはどのようなサービス・サイトを制作するのか、によって大きく変わってきますが、共通しておさえておくべきポイントがあります。それは、「なぜブラウザでWebサイトが見られるのか」ということです。正しいURLをブラウザに打ち込むと、なぜWebサイトが閲覧することが出来るのかを説明できるかできないか。その把握がWebディレクターとして最低限持つべきシステムの知識だと思います。

システムを一から、そして一人で勉強し続けることはなかなか難しいです。なので、まずは今やっている業務、システムの部分で理解出来ていないところがあれば、エンジニアをランチにでも誘って聞いてみましょう。また、プログラミングができるかどうかは、Webディレクターにとってあまり関係ありませんが、使っている言語の特徴やできることは最低限、知っておくべき知識なのです。

9.Webディレクターとプロジェクトマネージャーの違いは?

Webディレクターとプロジェクトマネージャーの違いについては、度々論争になっているのを見かけます。理由は、お互いに職域が似通った部分があるということで、その役割の部分で議論されます。また必要なスキルセットが近いということもあります。Webディレクターにもプロジェクトマネジメント力は必要、プロジェクトマネージャーにもディレクション力は必要といった具合に似通っています。またシステム開発会社ではプロジェクトマネージャーで、Web制作会社ではWebディレクターって呼ぶという方もいます。では本来は何が違うのでしょうか。

Webディレクター、プロジェクトマネージャーと、本来的な意味での違いは、「何にコミットするか」という点だと考えます。Web制作のプロジェクトにおいて、制作進行を通じてクライアントの目的達成にコミットするWebディレクションに対して、プロジェクトマネジメントはプロジェクトを進行管理することで、プロジェクトの完遂にコミットするということです。これは、どの部分にミッションとしてコミットするか、その役割は何かによって職務が変わってきます。

しかし、実際のプロジェクトにおける業務で、定義としてしっかり切り分けられていることは多くない印象です。そのため、Webディレクションだけやっている人、プロジェクトマネジメントのみしている人は比較的少ないのではないのでしょうか。Webディレクターとプロジェクトマネージャーの現実的な違いは、コミットするミッションの違いが一番だと思います。

ここまで、Webディレクター、プロジェクトマネージャーの違いについて見てきましたが、職務や職名にこだわることよりも、自分がコミットすべきミッションが何かを明確にし、どこにコミットし続けるのかを自覚して、目的を達成するために執行しやすい職名を持つことが重要です。逆にプロジェクトマネージャーという肩書だからWebディレクションは関係ない、など自分で職域を制限することはせず、必要な職名を名乗れるだけのスキル、実績を身につけて、選択肢の広がる人材を目指しましょう。

10.Webディレクターの採用が難しい訳とは?

企業の人事担当者はWebディレクターの採用に苦戦しています。なぜ苦労しているのでしょうか。Webディレクターの仕事は、その職域が広く、同じWebディレクター職であっても、所属する会社により役割も少しずつ異なっています。自社にぴったりなWebディレクターを採用するには、どのスキル、実績を重視するかにより、その採用の難易度が変わってくるのです。

一つの事例を見てみましょう。とある大手ECサイトを受託して運営している制作会社があります。クライアントは大規模で、大きなミスは許されない環境です。会社を立ち上げ当初から一緒に頑張ってきた、ベテランのWebディレクターが退職するので、その代役を探す必要があります。急務です。そのベテランのWebディレクターは、運用ルールもクライアントと一緒に決めるなど、会社のWebディレクションの基礎を築いた人です。その代わりをWebディレクターに求めるとどうなるでしょうか?

まず、クライアントと引き継ぎ担当に求める能力の打ち合わせをしました。Webディレクターとしてのスキル、実績ですが、大手クライアントの運用を任せるだけの、運用実績が必要です。Webディレクターとしての経験はひとまず3年以上とし、年齢もクライアントの担当にあわせて20代後半。更にクライアントの売上が芳しくないため、より多くの商品を販売する必要があり、月商1億円以上の大規模ECサイトの経験が必須ということになりました。そして更に会社としてマネジメントもできなくてはいけないし、まだ小さい規模なので、出せる年収も400万が目一杯です。

最終的にこの制作会社は要望のWebディレクターを2年ほど採用できていません。要因は現場の要望点だけを洗い出して突き詰めた結果、そもそも難しい条件に加えて上限年収のバーもあり、実際の人材マーケットで非常に狭い求人オファーの内容になってしまった点にあります。ここまで極端でなくても、「気持ちは分かりますが、そんな人はなかなかいません・・」という求人は数多くあります。解決するには、Webディレクターの採用は本当にやるべきミッションや望むスペックを絞って、軸を作ることが大事です。その上で、年収を決めた上で、選別していくことが望ましいと言えるでしょう。

11.Webディレクターが積むべき実績とは

Webディレクターがキャリアアップして、自分の市場価値を高めていくには実績が必要です。そもそもの市場価値が高いWebディレクターですが、実績の作り方一つで選択肢は広がり、また逆も然りです。前述したようにWebディレクターには所属する企業のビジネスにより少なくとも2パターン存在します。今回はその2パターン毎に、Webディレクターが積むべき実績について解説します。

そもそも実績とは、誰にでも等しく分かりやすいように「数値」を意識することが大前提になります。まずクライアントワークのWebディレクターの場合、実績として経験した案件数、案件規模、案件の質(場合によっては、サービス名、クライアント名も実績となり得ます。)がメインだと思います。また業界に特化した強み、3つのビジネス(広告、コマース、直接課金)の特化した強み、ソリューション(課金システム、広告配信、ソーシャルメディア運用)の特化した強みが数値化することが大事です。例えば、クライアントのこんな課題に対して、こんな提案を実施し、このKPIを達成することで、いくらの売上に貢献した。というような実績があると非常にポジティブです。

また自社サービスのWebディレクターはとにかく数値を上げることがメイン業務なので、コミットしている業務でその数値をどのような施策で、どのくらい数値を上げたのか、に尽きます。この数値をあげるためにロジカルなコミュニケーションで、立場の違う関係者達を横断調整し、根気よくPDCAを回し続けられることが大事な実績につながります。例えば、ソーシャルゲームですと、売れ筋のゲームタイトルを世に出した、というだけで、業界のヘッドハントが止まらない人材もいます。最近の人事は「XX会社の事業部長XXさん」などのキーマンリストを持っている企業も多く、ハントを防止するために社員の露出を抑える企業もあるくらいです。

まとめると、クライアントワークのWebディレクターは更に案件規模が大きく、更に新しい技術を使ったより難しい案件ができるよう、自社サービスのWebディレクターは、自社のサービスでより右肩上がりなKPIを描き、達成し続けられるよう、そんな目的を共有できる人材として、積極的に迎え入れられるような人材として、地道に実績を積んでいくことが、人生の選択肢が広がるヒントになるのです。

12.幅広いWebディレクターの職域を解説

最初にお伝えしておくべき大事なことは、Webディレクターの職域は幅広いということです。これは採用につながりにくい要因にもなっており、採用や業務委託でミスマッチが起り続ける要因の一つになっています。今日は幅広いWebディレクターの職域と種類を明確にしていきましょう。

Webディレクターの職域を語るには、Webディレクションの定義が必要です。Webサイトはそもそも達成すべき目的を持っていて、その目的を果たすために必要な手段に落とし込みます。Webサイトに落としこむには、誰にどんな情報をどのように伝えるかという定義が必要です。ユーザーのペルソナ設定や、ポジショニングマップで対象ユーザーを絞り込み、そのために必要な情報設計を行い、要件を洗い出した段階でワイヤーフレームに落とし込みます。このフェーズを広く設計フェーズと呼び、Web制作では、最初に行なうべき領域、つまりWebディレクターの職域の一つになります。

ユーザーの定義、情報設計を行なった後に、制作・開発チームと調整をしてチームを組成します。いわゆる制作・開発のフェーズです。通常、ワイヤーに落とし込んだものをベースに、デザイナーがグラフィックデザインを起こして、構成要素毎にコーディングを行ないます。コーディング後、仕様を満たす要件を整理し、エンジニアがプログラミングを行なっていきます。クライアントと約束した仕様を納期に間に合わせるよう、制作・開発チームの進捗管理、工数管理、プロジェジェクト収支管理が必要になります。

その後、サイトが出来上がった後に、そもそもの目的達成のために、解析ツールのデータを基に、改善を繰り返して数値を上げていく運用フェーズに移ります。最近では新規サービスの運用をグロースハックと呼び、新規事業担当とは別に、Webサービス育成させていく選任の担当も新しい役割として誕生しています。ここでは、解析ツールの数字の先にユーザーの動きを把握し、ユーザーの感情設計をコントロールすることで、KPIを達成していくことがミッションになります。先に上げたような設計、制作・開発、運用と、それぞれのフェーズで、Webディレクターの職域を解説しました。

13.成長するWebディレクターに共通するポイントとは

成長を続けるWebディレクターにはいくつかの共通した特徴があります。その特徴をポイントとして把握することで、成長できるきっかけを作ることが出来ます。まず成長を続けるには、ゴール設定が重要です。どんな状態になっていればいいのか、その状態にたどり着くまでにはどのくらいの期間が必要で、今の自分に何が足りてなくて、それを充足するにはどうしたらいいのか、という具体的な施策はゴール設定後に具体化できます。具体化できていない人は、ゴール設定が明確でないことが大半です。

ゴールが設定できたら、次に成長するきっかけが大切です。きっかけを作るためには、他人からの提案を待っていてはなにも始まりません。自らイニシアチブを持って、主体的に話を進めていく必要があります。時には現時点で不要だと思われるサービスも、クライアントが必要だと思えば提案する。タスクや役割が宙に浮くことは日常茶飯事なのですが、その浮いた課題を浮きっぱなしにしない、自ら拾いに行ってマネジメントする姿勢が、Webディレクターとして、最も大事な素養の一つです。

また成長の過程において、終わらないデスマーチなどのトラブルだったり、モチベーションが上がらないスランプの時期だったり、多くの困難が必ずありますが、それを受け止める、受け流す、ある意味の楽観的で柔軟な考えと、ストレス耐性も大切です。そして、新しい情報、環境に飛び込む勇気と、興味関心が必要です。例えば先日、iBeaconという新しいセンシング技術のデバイスが出た際に、すぐに入手、プロトタイプし、ビジネスのどの部分に活用できるかをすぐに実践するWebディレクターがいました。彼はすぐに会社のソリューションとして提案できるくらいの情報を集めて、クライアントに提案、小さいですがいくつかの導入実績を作り上げました。新しい技術なので、今後、どう展開するかは分かりませんが、新しいマーケットで先攻する優位性を早々に作りあげました。

結論、ゴール設定をし、過程を具体的に、ある程度の柔軟性、楽観思考、ストレス体制を持ち合わせ、新しい技術やサービスをビジネスに転化させるための興味のアンテナを張ること。これらが成長するWebディレクターには共通しているポイントになります。新しい職能が故に、これから更に進化し、発展していく可能性があるWebディレクターなので、十分やりがいのある人生が送れるはずです。

14.新卒Webディレクターが気をつけるべきポイント

数年前までは、社会人1年目の人がWebディレクターを担当することは多くありませんでした。Webデザイナーがいつの間にかWebディレクターの役割をするようになり、名刺もWebディレクターに変わる。そんな具合の方が一般的だったと思います。しかし、今ではIT/デジタル業界も新卒をとる会社が増えてきて、Webディレクターを新卒が担当することが増えてきました。ではそんな新卒Webディレクターはどこに気をつければ良いのでしょうか。

一つは会話などの単純なコミュニケーションを丁寧にすることです。新卒でWebディレクターをすると、どんなに優秀な人でも知識や経験が足りず、うまくいかないことが多々あります。失敗する回数が積み上がっていくと、どうしても気を張りすぎてしまったり、疲れすぎてしまったりします。そんな時に、コミュニケーションが雑になりやすいのです。Webディレクターにとってコミュニケーションは1番大事と言っても過言ではないです。クライアントや先輩、同期との会話が雑になってくると、能力・経験関係なく仕事がうまくいかなくなります。逆に、先輩方は新卒が仕事を失敗するのはわかっているのです。なので、失敗を恐れる事や、後悔する必要はないのです。どんな時も落ち着いて、メールや会話で丁寧にコミュニケーションをとっていく事が大事です。

もう一つは、わからないことをそのままにしないことです。IT/デジタル業界で働いていると色々な言葉がでてきます。プログラムなどのテクノロジー関係の言葉はもちろん、マーケティングに関する言葉もたくさんでてきます。先輩との会話の中や、資料に出てくる言葉でわからないものは放置せずに、その都度調べる癖をつけておきましょう。クライアントやチームメンバーで話す上で、用語の意味がわからないことは意外に致命的です。またWebディレクターの場合は相手から信頼されることも非常に重要なので、他の職種以上に情報に敏感になっておくべきです。エンジニアやデザイナーからも、よく理解していると思われるように努力しましょう。

ここまで新卒でWebディレクターになった人が気を付けるべきポイントを見てきました。ポイントは2つあります。1つ目は基本的なコミュニケーションである、会話やメールを丁寧に行うことです。2つ目は知らないことや理解できないことを放置しないということです。これらのポイントを抑えながら新卒である期間を過ごす事は、きっと良いWebディレクターになるための後押しになるでしょう。

15.炎上させやすいWebディレクターの特徴とは

みなさんは担当したプロジェクトが炎上したことがあるでしょうか。おそらくWebディレクター歴が3年以上ある方は1度や2度はあると思います。そんな炎上を起こしやすいWebディレクターが共通して持っている特徴をここでは書いていきます。みなさんはこの特徴を反面教師にして、炎上を未然に防いでください。

まず、一番炎上させることに影響が出ていそうな特徴は、嘘をつく。ということです。どんなに綿密につくられたプロジェクトでも、実際に動かしてみると、想定外のアクシデントは起こるものです。1日でつくれると見積もっていたシステムが3日、4日かかったりすることはよくあります。そんな時にたくさん炎上させるWebディレクターは上長やクライアントに対して、プロジェクトの遅れを隠蔽したり、嘘をついたりします。その遅延が発覚した段階で、報告すべきです。また事実だけを報告しても納得させないので、次のようにセットで報告しましょう。プロジェクトの遅延の原因、遅延を最小限に抑える策、今回遅延させて原因を繰り返さない策。この3つをセットで報告することで信頼を失うことなく、リスクを最小限にできます。

また、もう一つの特徴は一人でスケジュールをつくるということです。どんなに優秀で経験豊富なWebディレクターでも、一人で気づけることは数少ないです。またWebディレクターは、管理するために必要な時間はわかるかもしれませんが、プログラミングやデザインにかかる時間を正確に見積もることはできません。そのため、チームメンバーが自分の仕事を把握しておくためにもスケジュールはできるだけ多くの人間で作る必要があります。例えばWebディレクター、エンジニア、デザイナーがそれぞれWBSを作成し、それをマージし、ブラッシュアップしていくことで、炎上しにくいスケジュールが立てられます。

このようにプロジェクトをよく炎上させるディレクターには特徴がありました。一つ目は嘘をつくこと、二つ目は一人でスケジュールをつくるということです。炎上するかもしれないと感じた時は、まず一人で考えずチームメンバーや上長、クライアントと相談しましょう。一人で抱え込んでいては出せる解決策も出にくくなってしまいます。

16.勉強会が盛り上がりやすいWebディレクターのなぜ

Webディレクターの勉強会は盛り上がります。ワークショプはもっと盛り上がります。そして交流会は絶頂を迎えます。全国的にも多くない、Webディレクター向け、Webディレクションの勉強会がなぜこんなにも盛り上がるのか、謎はWebディレクターの抱える構造的な課題にありました。

現役Webディレクターに「ディレクションって誰かに教わった?」という質問を行なうと、ほとんどの答えがNOです。つまり部分的に必要なことは教えられても、体系的にWebディレクションを教えられる人がほとんどいません。理由は誰にも教わっていないから。誰にも教わっていないのに、誰かに教えられる訳がありませんよね。そして、各々の理屈を持ってして、個々個別の考え方を持ってして、独自のディレクション理論がたくさんあります。また技術の進化に合わせて、独自のディレクション理論も変化が必要です。そのバラツキが教わることでできる共通認識を阻害している現実があります。

Webディレクション研修でワークショップを行なうと思った以上の評価をもらうことがあります。なぜか。それは独自のやり方でやってきたWebディレクションが、はじめて違うやり方に触れるからです。ワークショップでは何人かのチームで、同じディレクションの課題を考え一つの答えにして発表します。そこで、「他のディレクターはこうやって考えているのだ!」という初体験を通じて、自分、会社独自の考えの良い点、悪い点に気づくきっかけになるのです。そして良い悪いについて語り合える環境で、今まで感じてきた孤独感から解放されて、更に学ぶ姿勢を作るきっかけを満足感と共に得られるわけです。

現状はまだまだ、Webディレクションはこうでないと、という一貫して体系化された考え方、ノウハウが存在しているとは言えません。つまりWebディレクションを担うWebディレクターの役割も、同様に明確化されていない事実があります。貴方も、ますますの盛り上がりをみせるWebディレクター向けの勉強会に参加して、自分だけで悩んでいたWebディレクションの課題や孤独感から解放されてみては如何でしょうか。

17.合コンがセッティングできるWebディレクターは優秀?

良いWebディレクターは良い合コンをセッティングできます。これはWebディレクター仲間で、必須スキル、理想の人物像を語った時に出てきた話の一つですので、割と現場的な信憑性はあると思います。合コンを神懸かり的に楽しい会にオーガナイズできる幹事さん。たまにいますよね。なぜそのようにできるのでしょうか。合コンとは一言で言うと、男女が出会う場になります。多くはお酒や食事をしながら、身の上話をしながら、聞きながら、相手の動向を伺って、気があうパートナーを見つける機会です。合コンには前コン、中コン、後コンと、味のように段階的な楽しみ方があり、男女チームそれぞれに楽しみ方があるのです。

まずはコンセプト設計から。例えば、参加する男子メンバーに、事前にどんな女子が好きなのかを確認し、ペルソナを作成します。(先方女子には、事前に好きな感じの男子像を確認し、パターン分けしておきます。)その双方がスムーズにマッチングするようなコンセプトを作り上げ、共通項をキーワード化して、お店の雰囲気に落とし込みます。その際に、高すぎず安すぎない絶妙な予算設定も大切なミッションです。お店や予算情報を双方に情報共有し、当日までモチベーションを上げ続けます。

当日はステークホルダーをお店へアテンドし、乾杯、アイスブレイクからの自己紹介と場をファシリテーションし、LINEやアイコンタクトでオンライン、オフラインで随時情報共有を行ないます。この際に、お酒により豹変する暴走キャラの仕様変更をうまく押さえ込み、クレームには迅速に対応。それぞれパート分けした進捗管理を行ないます。無事に会が終わると清算、会計。ここでマージンを取っては行けません。そして会が終わった後は、うまくいけば2次会へのアテンド。いかなければ同性のみの反省会へのアテンドでブラッシュアップをします。会の後は、自分含めて、いい感じの2人のクロージングをかけて、楽しい会だったね、という印象を植え付け、次回開催へのPDCAサイクルをディレクションするのです。

というわけで、合コンを良い会にするセッティングには、Webディレクションで必要な素養が発揮できるチャンスが所々に転がっています。言い換えると、楽しい合コンをセッティングできるあなたは優秀なディレクターと言えます。合コンをアレンジして、参加者のモチベーションを高めることができれば、あなたはWebディレクターに向いている人材なのです。

18.Webディレクターに必要な情報管理能力とは

Webディレクターの仕事は主にコミュニケーションが中心です。クライアント、制作、開発現場との情報のやり取りは、メールやSNS、コミュニケーションツールを使うことが大半ですが、日々発生するファイルやスケジュールなどのやり取りで、思わず混乱してしまうことは多いと思います。そこで、コミュニケーションで必要な情報管理能力について解説しようと思います。

まずコミュニケーションでやりとりする情報と言っても、いくつかに分類されます。まずドキュメントと呼ばれるアプリケーションファイル。仕様書によく使われるPowerPoint形式や、Word形式、スケジュールやKPIの管理などに使われるExcel形式、その他、HTML、CSS、JavaScript、PHPなどのコーディングファイルなどがよく使われるかと思います。これらファイルは「更新」が必要になり、更新の度にバージョンが変わるので、更新前のファイルとは別モノとして、ファイル名も変更が必要になります。

そんなファイルのやり取りでは、例えばメールなどで、新規バージョンのファイルが飛び交いながら、時にSNSで送った、以前の更新が反映されていない、などのイレギュラーな状況、時にトラブルが起こり得ます。そして、イレギュラー時には、そのトラブルを切り分ける時間が必要になります。これが、スケジュール上では想定できない「余計な」時間になってしまいます。Web制作のプロセスの中で、余計な時間はスケジュールを大きく狂わせ、品質に大きなブレを生み出すことにも発展する可能性があります。

納期にコミットするWebディレクターとしては、事前にそれらの状況を生み出す要因を排除し、仮にトラブルが起こってしまった場合も、平然と迅速に対処できる体制を常に作っておきたいところです。その上で、小さなリスクをコツコツと対処していく情報管理能力こそ、それらリスクを排除するために必要な能力となります。最新バージョンのファイルは?この課題の結論は?など、確認が必要なケースにすぐに情報として出せるように、常に現状把握をアップデートして、必要な情報をすぐに取り出せる管理が必要です。

19.Webディレクターデビューは未経験でも大丈夫

これから社会に出る大学生で、IT/デジタル業界を志望している人には、将来はWebディレクターになりたいと考えている方もいると思います。では、Webディレクターとして活躍するには、どのようなキャリアを踏んでいけばいいのでしょうか。例えば、エンジニアで経験を積んでから、Webデザイナーで経験を積んでから、など、他のキャリアの延長線上にWebディレクターがいる、などと考えているかもしれません。パソコンスクールなどでもそうやって教えているようなのですが、実はこの考え方、現場のWebディレクターは驚く人が多いのです。

実は、新卒でWebディレクターになる方もたくさんいます。では、なぜ他の職種を経験せずに、Webディレクターになることができるのでしょうか。お分かりの通り、エンジニア、デザイナー、そしてWebディレクターは、それぞれ必要な経験や知識が違います。仮にWebデザイナーを10年やっていても、Webディレクターとしての経験は0。キャリアを変更しようにも、必要な実績、スキルを持ち合わせていない、といケースも十分にあります。つまり、Webディレクターに必要なスキルは、Webディレクターとして積み上げる必要があるのです。

繰り返しになりますが、Webディレクターの主な仕事はコミュニケーションです。言うまでもなく、Webデザインの知識や、エンジニアリングの知識は幅広く持ち合わせていた方が、Webディレクションがスムーズに進行することがありますが、あくまで異なる様々な立場の人達と正確にコミュニケーションをとる必要があるからなのです。つまり、デザインの知識や経験があってもそれを元にコミュニケーションをとっていなければ、Webディレクターとして成長していけないのです。

結論としては、Webディレクターになりたいのであれば、新米Webディレクターからはじめるべきだと考えます。Webディレクターとして成長してゆくには、Webディレクターを実際に経験することが一番の近道になるからです。また、Webディレクターはデザインもプログラミングも理解するに超したことは無いですが、必ずしもマスト要件ではない、そこを理解して頂きたいと思います。Webディレクターの立場でプロジェクトを経験しながら、少しずつ、デバッグやコーディング、グラフィックの制作業務などを経験していくことも十分あります。ですので、新卒や学生の方で、Webディレクターになりたい!という気持ちを持っているのであれば、最初のキャリアから是非Webディレクターを選んでみてください。

20.WebディレクターにあったほうがいいWebツールとは

インターネットを利用することで、コミュニケーションをより促進させ、より多くの情報をわずかな労力でやり取りすることができますよね。今日はWebディレクターにあったほうがいいWebツールを紹介します。もちろん、Webディレクターに限った話ではないかもしれませんが、主にインターネット上でコミュニケーションを促進させるための、便利なWebツールです。

まずテキストや画像のやり取りです。メーラーと呼ばれるパソコン本体にインストールするものから、最近はブラウザでパソコンやスマートフォンで同じ情報をいつでもどこでも見られるWebメールが主流になってきているかと思います。またそのメールのやり取りも簡略化され、チャットであったり、メッセンジャーであったりと、不要な枕詞も除外して、気軽にやり取りができるアプリーションもビジネスでは利用され始めています。これで場所や時間を選ばず、スピーディに情報のやり取りができるようになりました。また最近、SNSでは情報漏洩のリスクがあるので、会社、部署単位でコミュニケーションができるビジネスSNSなども利用されています。

更新が必要なファイルの共有ですが、以前はイントラネットでファイルサーバーを作り、同じネットワーク上にいるパソコン同士でファイル交換を行なっていましたが、社外等でもファイルが共有できるよう、クラウドサーバー上にファイルを置いて、ブラウザ経由でやり取りが可能になりました。また一部サービスでは、オンラインでのファイル管理に加えて、ローカルファイルを同期することで、わざわざブラウザを介さなくてもファイルの更新がスムーズに行なえるオンラインストレージサービスも出てきています。また開発環境では、専用のファイル、バージョン管理のサービスもあり、リポジトリとしてソースコードを共有することも可能です。

ということで、今回はコミュニケーションツール、ファイル共有ツールをご紹介しましたが、普段メーラーで、メールで情報を交換している人にとっては、驚くほどの時間短縮が実現することになることでしょう。もし、クライアントが同じ状況であれば、可能な限り同じ環境でコミュニケーションを行なうことができれば、プロジェクトの進行も、よりスピーディに展開することも十分可能です。「Webディレクターにあったほうがいい」を、「Web上でコミュニケーションを行なうために」と言い換えまして、プロジェクトの進行をよりスムーズに行なうために、貴重な時間短縮をツールで実践してみてください。

21.Webディレクターの適正年齢はあるの?

職業にはその実力が一番発揮されやすい適正年齢という期間があります。もちろん例外も多くあることが大前提なのですが、例えば税理士さんは、税制という一般には複雑な制度への理解や、税務署とのやり取りなどのノウハウなど、その知見と経験がモノを言う商売の一つかと思いますので、経験豊富な税理士さんは非常に頼りになります。逆に若者向けのアパレルの販売員さんは、ファッションの流行や最前線の情報を把握して、顧客にお勧めする、或いは自らもモデルとなって販促をするなど、20代の若い人が活躍する職業かと思います。Webディレクターにとって適正年齢はあるのでしょうか。

結論から言ってしまうと、Webディレクターに適正年齢はありません。言い方を変えると、何歳にならないとWebディレクターには向かない、ということはありません。そもそも、インターネットの業界は比較的若い業界なので、定年退職を迎える世代はまだまだ先の話になります。そのため、20代の経営者が会社を立ち上げ、学生からアプリなどを作ってスタートアップし、資金を集めているのが当たり前の世界なので、若ければ若いほど、その機会を広げやすい環境とも言えるでしょう。

また、インターネットは、他産業、ビジネスへの活用余地はまだまだ大きくあります。そして、業界によっては、自分の父親世代の方々を顧客として接する機会もあるかと思います。そんな百戦錬磨のベテランの方々を相手に、顧客のビジネスへの理解はもとより、改善提案を行なう場合も多く、理解と経験が必要なケースも出てきます。前職の制作会社では、ベテランのディレクターが2名いて、大事な案件や強者のベテラン顧客との折衝の際には、交渉を行なうという役割を担っていました。クライアントワークでは、顧客の状況にあわせながら、適正の経験を積んだいくつかの年齢層のディレクターがいると、大変心強い体制になります。

冒頭でWebディレクターに適正年齢はない、という結論を書きましたが、もちろん現役として実務もバリバリこなし、積極的に顧客に提案できるという意味では、40代中盤を境にピークはあるかもしれませんが、ビジネスを理解し、コミュニケーションを軸とするWebディレクターは、状況により活躍できる年齢幅は広い職業になります。適正として必要なのは年齢ではなく、経験と実績、そしてビジネスやテクノロジーに対しての理解、感覚など、顧客やユーザーのニーズを満たしていく要素は別にあると思っています。年齢の高低に関わらず、志したタイミングで、Webディレクターの道にチャレンジしてみてください。

22.アメリカにWebディレクターがいない理由って?

最近は企業もアジアに支店を出したり、シリコンバレーで新規ビジネスを始めたりと、グローバル化が一層加速している印象です。そこで日本と海外のビジネスを比べるという機会が増え、文化や習慣含めて、職業をも比較することも多くなってきました。Webディレクターも同じく、海外で活躍するディレクターはどんな人物だという議論もしかるべきなのですが、どうもアメリカにはWebディレクターという職業は存在していないようだ、という説が存在します。現実はアメリカにも、アジアにもWebディレクターの肩書きで働いている人は少なからずいると思います。しかし、そんな説が出てくる背景には何があるのでしょうか。

日本でWebディレクターをした後に、アメリカの制作会社で働いた人がいます。彼はデザインもコーディングも初歩的なレベルで、実務レベルではありません。日本にいた頃はいわゆる、制作作業には直接触れずに、顧客との折衝や交渉、調整などを主な業務としていました。提案、営業から、進行管理が主な担当です。日本での実績を基に、アメリカの西海岸にあるデザインを強みとした制作会社に入社します。するとWebディレクターという肩書きから、Producer/Project Managerに代わり、主に顧客、売上、コスト管理を中心にプロジェクト全体を管理する立場になりました。制作部分のディレクションはというと、デザイナー自らが行なっている訳です。

デザイナーは実際にデザインを行ないます。そして顧客と直接やり取りをして仕様を固めていきます。進め方はというと、顧客を巻き込んだ上で、何人かのデザイナー同士でもディスカッションを行い、意見をぶつけ合います。そして、その意見を更にぶつけ合いながら、最終的に一つの形にしてゴールさせます。誰か一人がリードする訳でなく、個々個人の意見をベースにして徹底的にディスカッションを繰り返します。アメリカのWeb制作では「プロダクトを作れる人」の意見が強く、イニシアチブを持って形にするまでのプロセスがあります。極端な話、そこに調整は必要なく、顧客を巻き込んだチームとして一つの意見に納得するまでディスカッションを繰り返します。

日本のWeb制作プロセスは、顧客側の担当とWebディレクターが主にやり取りをして、予算は稟議を上げ、要件は上層部の要望をまとめあげ、実現可能性を制作チーム・開発チームと相談しながら様々な立場を横断し、一つのゴールに先導する人が必要です。つまり責任範疇が多数、あるいはまったく無い状況の中で、様々な「調整」が必要な環境なのです。誰がイニシアチブを持つのか、言い換えると誰がどこに責任を持つのかがあいまいなケースが多々あります。あくまで一つの例ですが、先述したアメリカの制作会社のように、顧客を巻き込んで、チームとして意見をぶつけあいながら一つのプロダクトができあがる環境であれば、「Webディレクターがいない」という説の、一つの理由として納得の背景ですよね。

23.デザイナーから見た良いWebディレクターって?

Webディレクターとして仕事をしていると、プロジェクト上、接する機会が多いのがデザイナーです。Web制作の過程では、システムを組み込む前にデザイン、コーディングというプロセスを経るので、プロジェクトで最初に接する制作・開発のチームメンバーとも言えます。そのデザイナーの立場からみて、どのようなWebディレクターが良い、とされるのでしょうか。

そのヒントは制作プロセスにあります。これはデザイナーに限らず、プログラマーやデバッガーなど、決まった仕様通りに作業を行なう必要がある立場の人達にも共通しているかと思いますが、モチベーションの管理というのが大事な要素の一つになります。例えばプロジェクトには納期がありますが、仕様通りの内容を期限までに仕上げる必要があるデザイナーは、まずディレクターとの信頼関係が必要になります。この信頼は「納期を守ってくれる。」というディレクターからの一方的な信頼だけでなく、顧客の要望を形にするために、的確な指示を出し、出たものをきちんと評価するというデザイナー側からの信頼も大事です。双方の信頼を得るために、Webディレクターはデザイナーのことを知る必要があるのです。

あなたが仮にWebディレクターの立場として、はじめて一緒に取り組むデザイナーがいたとします。設計のフェーズでは、あなたの意識のほとんどが顧客へ注がれます。要件が固まると、設計したものをデザインするフェーズで、制作工程では仕様通りに作ることを期待します。しかし、デザイナーの立場としては、顧客も会ったこと無ければ、眼前のディレクターも初めての取り組みだとすると、環境に対しての情報がほぼ無い状態なのです。その状態で顧客の目的や、実践すべき仕様を汲み取り、状況に応じて変化するディレクターの指示を汲み取る必要があります。自身の考えとは異なる指示内容や、突然の仕様変更も、決められた納期通りに仕上げるミッションに変わりはありません。断片的な情報の中では、本質的な目的がなかなか見えてこないのが現実なのです。

「木を見て森を見ず」という状況はWebの制作会社に限らず、よくあることだと思いますが、Webディレクターとデザイナーでは、立場の違いにより、共有する情報の種類と量が異なるケースが多いです。故にデザイナーは、顧客の目的が見えにくくなり、断片的な議論に徹することも多々あります。「良い」という定義は幅広いですが、後工程を任されるデザイナーから見て、良いWebディレクターとは、本質的な情報を共有して、同じゴールイメージを持たせた上で、デザイナーを知り、デザイナーの立場を知り、顧客と同じ位理解と意識を高めてくれる要素を持っているという事になります。

24.WebディレクターのOutputとは?

繰り返しお話しているように、Webディレクター業務は幅広く、その分、Outputは業務に応じて幅広くあります。それはディレクションとして担当するフェーズやプロジェクトによって大きく変化がある場合もありますが、今日はWeb制作のプロセスで、納品までに考えられるWebディレクターのOutputを書き出してみようと思います。

まずWeb制作に入る前の営業フェーズがあります。ここでは顧客に対して何をするのか、といつまでに幾らかけるのか、というコミットをまとめます。何をするかは、企画提案書にまとめあげて、スケジュール表と、お見積書を作成します。発注が決まったら、必要に応じて契約書や、発注書など、書面を作成し、顧客とすりあわせます。最初のフェーズとしてサイトの設計を行ないます。ここでは仕様書を作成することになりますので、そのための準備が必要です。会議体を設計し、その度に議事録を作成します。都度出てくる要望点は機能要求シートにまとめて、機能一覧と画面仕様書にまとめます。必要に応じて、ユーザーのペルソナをまとめたり、他社比較用にポジショニングマップを作成したりする場合もあります。

設計書ができあがると、今度は制作、開発フェーズに移ります。Webディレクターは納期までに、仕様通りの進行管理を行ないます。スケジュールに添って、現段階の状況を顧客に報告し、途中で制作チーム・開発チームから出てくる仕様の矛盾や、未確定部分を顧客とすりあわせるため、各課題を管理する課題管理シートを使います。またHTML・CSSなどファイルのバージョン管理を行いながら、仕様書のアップデートを行なっていきます。

そしてバグチェックを行なうために試験仕様書を作成し、サイトの挙動が仕様通りに動いているのかという確認を行ないます。その結果を顧客に報告し、問題なく納期が終わりに近づくと、これまで作成した仕様書とWebサイトのファイルをまとめて、顧客に納品を行ないます。納品に関しては、検収書と納品書を作成し、問題なければ請求書を発行します。ここまで、ざっと挙げましたが、とても多い印象では無いでしょうか?冒頭にも記載したように、WebディレクターのOutputは業務と同じく幅広いので、小さくても一通りプロジェクトの経験があると、次のプロジェクトに大きく活かすことが出来るのです。

25.Webディレクターにキャリアチェンジしてよかった点

Webディレクターは他業種から転向しやすい職業の一つです。難しいと思われがちなのですが、基本はコミュニケーションを軸とする業務のため、Web制作を行なう職業の中では、比較的キャリアチェンジしやすい職業と言えます。今日はWebディレクターにキャリアチェンジした人から聞いた、良かったことを抽出することで、Webディレクターへのメリットを書き出してみようと思います。

まず、Webディレクターは自由な気質の方が多いため、独立思考が高い方が多いのが特徴の一つではないでしょうか。制作プロセスは予算を確保し、制作チーム・開発チームのコストを差し引いて利益を残すので、基本構造は経営や事業と同じになります。また顧客のビジネスに対しての施策を提案する立場なので、必然的にビジネスへ興味が湧いて、独立、フリーになるパターンも少なくありません。一つに「ビジネスを多く学べる環境にある。」これが、大きな良い点の一つと考えられます。

またWebディレクターが集まると、よく出てくる話題としては、給与の話もあります。IT/デジタル業界という成長マーケットにいる中で、人材の必要性はもちろん日々高まっていますので、Webディレクターも需要過多の職業の一つになっています。そのため、採用サイトなどを見ていると、給与水準も比較的上がりつつあり、転職も移りやすくなっているのが現状です。更に、Webディレクターから、より上流のコンサルタントや、情報設計やゲームなど専門性を持つものなど、高水準な給与が得られる職業へキャリアアップも十分考えられますし、経営者、フリーといった事業者への道もあるのです。

今回は、Webディレクターにキャリアチェンジしてよかった点として、ビジネスを学べる環境、成長産業内の給与水準の高まり、という2点をお伝えしました。また別の視点としては、今後Webディレクターは、より新しい働き方を体現できるような職業になってくるのでは、という考え方もあります。例えば、Webディレクターだけの会社に所属し、最近一般的になってきたクラウドソーシングなどでプロジェクト毎にメンバーを集めて、場所や国までも選ばずにプロジェクトを成功に導くという、新しい次の働き方も提唱できるようなポテンシャルを秘めた職業なのです。

26.女性が活躍するWebディレクターという職業

前述したようにWebディレクターは新しい働き方を体現するポテンシャルを持っているというお話をしました。通常の労働環境では、男性よりも変化や制限が発生してしまう可能性のある女性が就きにくい職業も多く存在するかと思いますが、Webディレクター向け勉強会には多くの女性が参加し、多くの現場で女性のWebディレクターが活躍しています。女性が活躍できる環境はどの辺にあるのでしょうか。

まず、女性Webディレクター達からは、コミュニケーションをうまく取る必要がある環境が存在するから、という点が挙げられました。もちろん男性にもそのような環境があると思いますが、例えば女性専用の商品やサービスの場合、男性の視点ではなく、女性ならではという視点が必要になってきます。その際も、女性向けのサービスで、女性の担当者であれば、環境的にコミュニケーションをうまく取れるのは女性の方が良い場合があります。女性向けのサービスや商品は世の中に溢れていて、特にコマースや広告商材などでは非常にボリュームの大きなマーケットではないでしょうか。

また、営業複数人、制作・開発チーム複数人、という環境の中でたった一人のWebディレクターとしてプロジェクトを回すパワフルな女性もいます。彼女の会社は営業が強い会社なので、主に営業支援のミッションを行なう立場として存在しています。女性向けのWebサイトの運用案件が中心の業務ということですが、女性ならではという視点と、きめの細かいサイトが良くなるための運用提案を、制作チーム・開発チームと一緒にまとめて、営業を支援しています。支援的な視点で、きめ細やかな対応も、女性が活躍できる特徴とも言えるかもしれません。

冒頭でもお伝えしたように、Webディレクター向け勉強会には多くの女性が参加し、新しかったり、それまで知らなかったりする知識や、情報の吸収にどん欲な方が非常に多い印象です。また、一般的にWebでの事業化も広がりつつある市場環境で、女性向けのサービスや商品も、今後増々Web上で展開されていくことでしょう。労働環境的には非常にタフな面もあるWebディレクターの職務ですが、ツールなどもどんどん使いやすくなっていく中で、今後ますます女性が活躍できる土壌が整っていく環境にあると言えます。

27.Webディレクターで最も大変なこととは

どの仕事もそれぞれ大変なことはありますが、Webディレクターの仕事で最も大変なことはなんでしょうか。人と接することが多いWebディレクターはコミュニケーションを行うことで、情報を等しく伝えることが重要です。それぞれの立場が異なると、同じ単語でも別の意味を持つことがあります。特に逼迫した環境下では、立場優先で判断してしまう場合があります。実例を基に解説します。

とある制作会社での出来事です。Webディレクターは日頃、顧客と密に連絡を取り合い、相談しながら非常に良好な関係でサイトの運用業務を行なっていました。ある日、新しいキャンペーンページの依頼があり、デザインカンプの締め切りを「金曜日まで」としました。そして金曜日の午前中に顧客がWebディレクターに進捗を確認します。Webディレクターはデザイナーを急がせます。昼を過ぎると、顧客が急がせ始めます。金曜日中って言ったのになぜと、Webディレクターはお昼抜きで、なんとか夕方に仕上げて顧客に無事報告を終えました。なぜ意識の違いがあったのでしょうか。

答えは「金曜日」という定義にあります。顧客は金曜日に上司に確認を取る必要がありました。上司は金曜日夕方から外出して、その後会食の都合が入っていましたので、金曜日でも早い段階、できれば午前中に仕上がっていることを期待しました。一方、Webディレクターはそんな事情は知りませんので、金曜日中に仕上げれば位の感覚でいましたので、前日にデザイナーにもそんなニュアンスの指示を出していました。同じ金曜日でも、立場が異なることで、なるべく早く、なるべく遅くても、という時間帯のずれが原因だったのです。

今回、Webディレクターは「金曜日の16時まで。」という日時までを顧客に伝えれば、上司の事情を把握している顧客は「もう少し早く。」という調整が可能だったかもしれません。そして急いで作業するクオリティよりも、もう少し考えられた時間を確保することで、より良い成果物になった可能性もあります。なにより、それまで作り上げた信頼性へ、ネガティブに影響してしまうリスクもありました。Webディレクターの仕事で最も大変で重要なことは、立場によって異なる人達に同じ情報を、同じ認識として伝達することなのです。

28.Webプロデューサー、Webディレクターの違いとは

Web制作において制作、開発をしない立場の役割が存在します。中でもWebプロデューサーは、Webディレクターと比べてどのような役割の違いがあるのかよくわからないといった意見が多いです。前提として職務は会社によって異なることが多いため、定義が異なるとは思いますが、ある大手制作会社の実例を見てみましょう。

この会社には営業、Webプロデューサー、そしてWebディレクターがいます。まず案件を取りにいく役割として営業がいます。営業は顧客のニーズをヒアリングして、Webサイトの新規作成、リニューアルの提案を行ないます。提案書と見積もりを作成し、顧客に提案し案件の確定をする、つまり売上にコミットする立場になります。一方、Webディレクターは営業が案件化したプロジェクトを、決められた納期通りに、決められた仕様通りに制作、開発現場をディレクションします。ここでは品質と納期にコミットする役割です。

ここでは、Webプロデューサーの役割は何でしょうか。Webプロデューサーがコミットしていたのは利益でした。営業と同行し、一緒に提案をしながら案件の確定を行ないながら、予算が確定すると、Webディレクター含めて、制作チーム・開発のチーム組成を行い、チームにミッションと役割を与えます。そして、そのチームの工数を管理し、工数から割り出されるコストのコントロールを行い、適切な利益を残します。プロジェクトの状況によっては、追加工数も判断するプロジェクト収支を管理する立場の役割です。

比較的、規模感の大きめなWebサイトの構築では、予算、チーム全体をマネジメントするWebプロデューサーも存在することがありますが、最近はWebディレクターがその役割を兼ねるケースも多く存在します。そして、Webディレクターとして必須の役割、能力として持っていた方が良いうという考えは徐々に広がっています。Webプロデューサーの役割を認識し、Webディレクターとして自分自身の役割を広げていくことで、プロジェクト収支上で利益を生み出す重要なポジションにも就くことが出来るのです。

29.Webディレクター向けのコミュニティが広がる訳

Webディレクターは孤独です。経営者も孤独と言われますが、立場として非常に近いスタンスにあると思います。そしてWebディレクターは誰も教えてくれません。つまり、体系化されていない職域なので、自分で調べて、自分の力で解決することが多いのが現状の環境です。そんな孤独なWebディレクター同士で勉強会や、情報交換するコミュニティがいくつか存在しています。そのコミュニティが広がっている背景はなんでしょうか。

先述したようにWebディレクターは、その業務を誰にも教わっていないケースがほとんどです。ヒアリングの仕方も先輩のみよう見まねで、ドキュメントや見積書も他社提案用のテンプレートを使い回し、スケジュールも制作チーム・開発チームから言われたままの工数を入れていく、なんてケースも珍しくありません。Webディレクター自身、本当にこれで正しいのか?と自問自答しながらプロジェクトを進めていることも珍しくない状況なのです。つまり、自分自身のやり方で進めざるを得ない環境ということです。

Webディレクター向けのコミュニティでは、個々が作り上げたツールや、基本となる考え方、実際に成功したケーススタディなどを共有する勉強会を行ないます。また、とある課題に対して、Webディレクター同士で意見をぶつけあい、できあがった課題解決案を発表し合うワークショップなど、他人のWebディレクターの考え方、やり方に触れることが出来ます。今まで自社、自分のやり方しか知らなかったWebディレクターたちは、他者のやり方に触れることで、独自のやり方を客観的に見ることが出来て、改めて善し悪しの発想が生まれます。この気づきが最大の価値になります。

世の中的に、Webディレクターの重要性が増す中で、Webディレクター向けのコミュニティも立ち上がり、東京だけでなく、関西、九州、東北と全国で、それぞれの活動を行なっています。勉強会を行い、交流会を行う度に、新しい気づきを得て、自分の業務へ活かし成果が出る、という正のループが徐々に回り出しています。プロジェクトで孤独を感じることが多いWebディレクターですが、今後増々その役割が大きくなり、その価値も広がっていきます。その価値と共に、Webディレクター同士、手を取り助け合うコミュニティの価値も、同じように正のループが増々広がっていく傾向にあると言えるのです。

30.Webディレクターが注意しておきたい契約書のポイント

Webディレクターの立場で営業を行うケースもあると思います。例えば、Webサイト経由のインバウンドで、新規から提案しにいくこともあるでしょうし、時にはコンペ案件に参加し、提案で他社と競う場面も十分ありえます。提案の末、無事に企画提案が通った次のステップとして、契約書を取り交わす作業が発生します。今後のプロジェクトを占うとても重要なステップになります。ここで注意しておきたいポイントをいくつか挙げたいと思います。

Web制作の代行で、まず確認したいのが発注における責任範疇と、仮にうまくいかなかった場合の取り交わし事項。案件の種類や規模にもよりますが、まず確認したいのが瑕疵担保の期間です。瑕疵担保とは、簡単に言えば、開発した後にバグ、つまりプログラムに含まれる誤りや不具合を無償で修正する期間を指します。顧客の立場としては、瑕疵担保期間であり、バグという認識であれば、「無償」でプログラムの改変、いわゆる修正を指示することができるという訳です。この修正は、適正に追加費用を請求できる仕様追加と区別が曖昧な面があって、開発側としてはできるだけこの期間を減らしたいというのが本音だと思います。

また、「仮にうまくいかなかった場合」に気をつけたいのが、損害賠償の取り交わし内容です。昨今、ニュースでも取り上げられているように、個人情報の取り扱いや、その会社の事業などの機密情報を取り扱うサービスなどに関しては、事故が起きた際に、受託側としてどのような範疇の責任をどう取るべきか、という取り交わし内容の確認が、非常に大事になってきます。通常、発注額を上限とするなど、仮に重大な事故が起きた際の損害賠償額でも、制限があって然るべき契約なのかどうかを顧客と確認し、擦り合わせする必要があります。

Webディレクターとして、契約書締結で注意しておきたいポイントということで、瑕疵担保と損害賠償責任を挙げましたが、受託する内容によっては、より厳密に取り交わすべき事項が、発生する場合があると思います。特にユーザーの個人情報を管理するデータベースが絡む範疇の制作は、その取り扱いには非常にリスクを伴います。案件額が多いということは、それだけリスクが存在し、そのリスクに対してきちんとコミットする責任が増えるということでもあります。Webディレクターとして、プロジェクトに責任を持ってゴールまで導くために、最初の一歩を確実に踏むことが、最も大事なポイントになるのです。

31.Webディレクターじゃなくても必要なホスピタリティって

ホスピタリティという言葉を聞いたことがあるでしょうか。Wikipediaで調べると、「一般に「もてなし」と訳される。」ということだそうです。とある接客業を長年経験した店長は、接客業で最も大事にしていることの一つとして、「目配り、気配り、心配り」という3つの「配り」を挙げます。今回は、そのホスピタリティについて、なぜ必要なのかを語りたいと思います。

そもそもホスピタリティとは、サービス業でお客様を相手にする際に使われる言葉になります。相手の視点、つまり顧客視点を持ち、相手が喜ぶおもてなしを行うという行為です。様々な立場を横断してコミュニケーション行うWebディレクターは、原則、相手ありきの商売になります。つまり、相手がいる限り、情報を等しく共有し、コミュニケーションを促進するために、ホスピタリティが必要な環境にあると言えます。顧客側にも、制作チーム・開発チーム側にも等しくモチベーションをコントロールして、喚起する、一丸にする、そして、ゴールへと導くことが重要です。

ホスピタリティを語る際に、「先回りする」ということがあります。相手が欲しいと思った際に準備が出来ていて、すぐに提供できる先回りの準備です。例えば、顧客から「追加費用っていくら?」、制作チーム・開発チームから「この資料はどこ?」という要望が出た場合、どこにその情報やファイルがあるのか、正確に把握し、速やかに対応できる準備を日頃からしておくことが重要です。会議に参加した議事録は、会議が終わった瞬間にメンバーに配布できて、課題として出てきたタスクの目処をすぐにつけて、追加費用をすぐに顧客に提出できる段取りと行動が、プロジェクト推進においてはとても大事なことなのです。

Webディレクターに限ったことではありませんが、仕事でホスピタリティは大切です。そして、そのホスピタリティは相手を含んだ自分というチームを円滑にして、後手後手になることなく、先回りでプロジェクトを推進することができます。常にその準備を心がけ、実践できるホスピタリティはWebディレクターにとって、必要な素養の一つとして挙げられます。

32.ビジネスにつなげるためにWebディレクターが行うべきこと(自社サービス)

Webディレクターはビジネスに近いところにいます。自社や顧客のビジネスを理解し、課題を解決する施策を提案する立場だからです。そして開発予算を捻出し、その予算内で決められた期限内で、成果を求められるハードな環境です。今回は自社サービス、クライアントワークに分けて、2回に渡り、ビジネスにつなげるためにWebディレクターが行うべきことを解説します。

まずは自社サービスにおいて。自社サービスの場合、Webディレクターは、Web担当者、企画担当者などと呼ばれることが多いと思いますが、主にビジネス上の数字を挙げていくことを要求されます。自社サービスの立ち上げを行う際に、よく使われる単語の一つで「マネタイズ(収益化)」という言葉があると思いますが、主にコンシューマー向けのインターネットビジネスモデルは、「広告、コマース、直接課金」の3つしか無いとされています。(送客ビジネスもありますが、広義では広告に含まれる認識です。)このビジネスモデルにおいて、数字を挙げ利益を残していく、つまりマネタイズしていくことが要求されるのです。

サービスをマネタイズしていくには、興味・関心なども含んだ、「商売っ気」が必要ですし、様々な部署を横断し、合意形成を進めながら推進する「コミュニケーション」も必要。うまくいかないことも乗り越えながら、きちんと計画を実施し、実情を把握しながら改善していくPDCAの仕組みも必要になってきます。ときにうまくいかない状態が続けば、思い切ってサービスの対象や、コンセプトを方向転換するピボットのタイミングも適宜判断も大切です。その全ては数字をあげることにかかっています。いかにして、効率的に数字を上げていくか、これが後にも先にも自社サービスでWebディレクターが行うべきことになります。

自社サービスでWebディレクターが求められることを挙げてみました。「新しいサービス、技術が好き。」、「数字は苦手だけど、自分の力を試したい。」などの理由で自社サービスを望まれる方も多いのですが、「新しいサービス、技術」はビジネスからすれば手段であるので、それ前提だとクライアントワークの方がマッチしている環境ですし、「数字が弱い」と目的達成が難しくなるので、そもそも自社サービスには向いていない方になってしまう可能性が高い現実があります。解析ツールからユーザーの動向を把握し、適切な手段で日々数字を向上させていくことが、Webディレクターが行うべきこと(自社サービス)になります。

33.ビジネスにつなげるためにWebディレクターが行うべきこと(クライアントワーク)

前回は「ビジネスにつなげるためにWebディレクターが行うべきこと(自社サービス)」ということで、自社サービスでのビジネスは、数字をあげるために、商売っ気、コミュニケーション、PDCAなど大事なポイントを挙げさせて頂きました。今回はそんな自社サービスの会社からアウトソースして提案を行っていくクライアントワークのWebディレクターがビジネスにつなげるために行うことを記載していこうと思います。

まずクライアントワークのビジネスは、提案した施策を納期までに納めると至ってシンプルな構造です。一番分かりやすいのが、制作会社、開発会社として、顧客のサービスの制作、開発を行う受託ビジネスになります。ここでは顧客の課題や目的を達成するために、制作、開発を代行します。顧客がどんなビジネスモデルを行なっているのかを把握し、KPIを達成することで、最終的に目標数値を達成するため、顧客以上にビジネスモデルに詳しい必要があります。そして実現するためのマーケティングの手法や、情報設計を行い、サービスを制作、開発して確実に納品することをミッションとします。

しかし、大事なのはサイトを構築してからの運用です。ここでは広告代行の会社も非常に数が多く、統計ツールではじかれる顧客のサイトの状況を正確に把握し、対象ユーザーに応じた施策を講じます。SEO、リスティング、アフィリエイトと呼ばれるような広告手法から、Facebook、Twitter、LINEなどのソーシャルメディアやコミュニケーションツールを使った広報など、様々な方法論の特徴を知っておく必要があります。新しい手法に常にアンテナを張り、実施することで、その効果を把握する。このあたりの意識があるかどうかで、数多い他社と差別化できるかというポイントになってきます。

クライアントワークのWebディレクターは常に情報を吸収し、いつでも提案できる準備をしておく必要があります。Webディレクター向けの勉強会では、クライアントワーク、いわゆる制作、開発会社に所属するWebディレクターが多く、勉強意欲が非常に高い人がたくさんいます。クライアントワークのWebディレクターには、こうした勉強意欲と共に、インターネットのビジネスモデルへの理解が必要です。Webディレクターの初心者にクライアントワークをお勧めする理由は、こういった環境や意識、多様なビジネスモデルに触れられる環境があるからです。ぜひ、クライアントワークでWebディレクターをはじめてみましょう。

34.クラウドソーシングを活用したWebディレクションとは

Webディレクターにとって、制作、開発のリソースは多くの選択肢を持っていることが大事です。理由は顧客の様々な課題を解決するために、適切な手段を用いる必要がある立場だからです。例えば同じWebデザイナーでも、テイストやデバイスにより得意分野が大きくことなります。女性向け、スマートフォンの実績が多い、コマースに強い、など、制作、開発会社やフリーランスは、それぞれ得手不得手の特徴があります。そこで、最近は様々なクリエイターが登録されているクラウドソーシングを使って効率的にディレクションを行うWebディレクターも増えてきています。

クラウドソーシングでは、フリーランサーや規模が小さめな制作、開発会社が登録をしています。案件を依頼したい顧客は、例えばこんなバナーを作って欲しい、こんなサイトを作って欲しいというオーダーをクラウドソーシング上で発信し、制作、開発の登録者がその案件に対して提案をしたり、サンプルの制作を行なったりして、マッチングを行うシステムです。比較的細かい案件が数多くあって、例えば学生や主婦、在宅のニーズにマッチして、業界全体として伸びてきているサービスです。依頼側も気軽に、便利に使えるクラウドソーシング。でも、ミスマッチも多く存在すると言います。

大きな問題としては顧客と登録者とのミスコミュニケーションです。例えば発注側である顧客は、Webやインターネットに詳しくない人も大勢います。ただでさえ横文字が多く、新しい技術が飛び交う環境で、顧客は指示をするだけでも精一杯。登録者が制作に必要な情報を聞いても、なんのことを指しているのか分からない、そしてコミュニケーションが成り立たない、結果、成果物が依頼する前に思っていたものとは大きくかけ離れてしまう、途中でコミュニケーションが断絶して、案件として進まなくなってしまうケースもあるということです。依頼側、登録者側も等しく時間を無駄にしてしまう最悪の状態が、クラウドソーシングの広がりと共に、発生しています。

そこで、クラウドソーシング上での、特に顧客と登録者が実際に会うことがないかもしれない案件で、Webディレクションの必要性が出てきています。顧客の目的をきちんと整理して、制作、開発に支障のない状態にする調整力が必要なのです。クラウドソーシング上で評価の高い人は、すごいデザインや複雑なプログラムができる人ではなく、きちんと顧客の要望を汲み取って、うまく形にする人だそうです。登録者側も、Webディレクション能力を身に付ける事が出来れば、一度も会わない環境でも、きちんと価値ある仕事ができるのです。

35.Webディレクターはソーシャルメディアとどう付き合うべきか

WebディレクターなどWebに関わる全ての人がソーシャルメディアを無視することができないほどに重要な存在になってきました。これからWebディレクターはソーシャルメディアとどのように付き合っていくべきでしょうか。

まずソーシャルメディアについて、正確な知識を身につけるべきです。ソーシャルメディアは大きく分けて4種類あります。ブログ、SNS、動画系、ミニブログです。ブログはインターネットが広く知られてから長くあります。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)はFacebookに代表される人と人を繋げるサービスです。動画系はYouTubeに代表されるインターネット上で動画を公開・共有することが目的のサービスです。ミニブログとはTwitterのように文字制限があるメッセージ投稿サービスです。ソーシャルメディアとざっくり言った時でもこのように複数の種類があるため、その時の文脈によってSNSを指していたりミニブログを指していたりしています。例えばクライアントがソーシャルメディアという言葉を使っているときはお互いに誤解が無いように気をつけるべきでしょう。

Webディレクターとしてはこれらソーシャルメディアをいかにビジネスにおいて活用できるかということを知っておく必要があります。代表的なソーシャルメディアについて知っておくべきです。そのサービスの面白さ、ユーザ、機能、ビジネスモデル、投稿情報の権利、など特性を研究しておきましょう。そうしておくことで、それぞれのソーシャルメディアを効率的にビジネスで利用することができます。

Webディレクターはソーシャルメディアの研究を欠かすことができない時代になりました。もちろん座学的に調べることも重要です。しかし、重要なのはどのようなユーザがいるか、どんな会社が運営しているかだけではありません。そこいるユーザはどのようなところに面白さ、価値を感じているかです。それを知らずに正確な提案はできません。なので、日常的に使っていくことがそれを知る上で必要です。

36.デスマーチになった際にWebディレクターが行うべきこと

デスマーチはWebディレクター同士で飲んだりするとよく出る話題の一つです。プロジェクトに参加している全メンバーが望んでいないはずなのに起きるときは起きてしまいます。デスマーチは予防策を打つことが重要なのですが、今回は起きてしまった際にWebディレクターはどう行動すべきか書いていきます。

とにかく今やっていることをすすめること、ではありません。まず、現在の状況を把握するためにミーティングをやりましょう。メンバーそれぞれの抱えているタスクを明確にし、それに合せてスケジューリングし直しましょう。またこの際に一人ひとりバラバラで行うと、タスクの依存関係により進められなくなるかもしれないので、関係者をできるだけ集めたところでやることが重要です。まずは、これ以上被害が広がらないことに注力しましょう。

スケジューリングし直すと書きましたが、これは納期を伸ばすということではありません。Webディレクターという立場上納期を伸ばすという選択は基本的にしてはいけません。どうすれば納期通りに納品できるかを考えましょう。ビジネスである以上クライアントからの信頼が非常に重要です。納品までに必要なタスクを正確に洗い出し、どこが短縮可能か、どの順番でやらなければいけないかを決め、納品に間に合うようにスケジュールを引き直してください。

Webディレクターがデスマーチに遭遇してまずやるべきなのは、ミーティングです。今プロジェクトメンバーが何をやっているのか、これからやるべきタスクは何があるのかをプロジェクト全体で洗い出してください。いくら時間がないからといってこのミーティングはおろそかにしてはいけません。なぜなら被害が大きくなるだけだからです。どこが原因でデスマーチになっているかもわからない状況では抜け出すことはできません。正確に原因を見つけ、打開策を提案するのがWebディレクターの仕事です。起きた際の原因はしっかりログを残しておき、今後同じ原因でデスマーチを起こさないように具体的な対策をつくっておきましょう。

37.転職でうまくいくWebディレクターの共通点

今までキャリアの話を何度かしてきましたが、転職して失敗するケースもあれば、うまくいくケースもあります。うまくいく人は、何度かつまずいても、うまくいきます。今回は「実際に転職でうまくいった」Webディレクターの実例を挙げてみたいと思います。面接やキャリアチェンジなど、いままでうまく行かなかった人は参考になると思います。

ある中堅Webディレクターは転職活動に困っていました。元々エンジニアの経験がありながら、積極的に提案も行なえるコミュニケーションに長けた能力を持っていたのですが、100社以上の書類選考、面接に通らず不採用が続いていました。そもそも、いろんなことができる柔軟性と、器用さを持っていたので、強みとしての軸が分かりにくく、故に採用担当もどのポジションでお願いしていいのか困るという印象でした。彼のように器用でなんでもできてしまう方は、Webディレクターにとっては非常にいい面なのですが、逆に採用だとぼやけてしまうデメリットがあります。その後、キャリアを正社員からフリーに転換することで、その器用さが武器となり、複数の案件をリピートする人気のWebディレクターとして活躍しています。

もう一人のWebディレクターは、クライアントワークの実績を積んで、その後、自社サービスに転身したいという要望をお持ちの方でした。流れは決して悪くはないのですが、自社サービスのディレクションを行う上で致命的な数字への苦手意識があり、自社サービス系の面接を受けるも、同じ理由で選考がなかなか通りませんでした。再度、自分の実績を見返してみると、自社サービスで数字を追うよりも、クライアントワークで大きい案件にスケールアップする方が自分には活躍できるイメージが湧いて、その後、何社か内定をもらい、役付きのポジションと年収もアップすることができました。自分の実績と活躍する方向性は面接を通じて見えた例です。

上記2例から言えることは、「実績は次の実績を作るためのもの」であって、やりたいことが自分の実績からかけ離れると、活躍できるどころか、そもそも入ることが難しい環境となってしまいます。なりたい自分の実績を十分に加味して、そこから逆算するキャリアを積んでいく必要があるのです。逆に転職、キャリチェンジがうまく進んでいる人は、自分の実績を最大限に活かした実績を段階的に積んでいくことができます。実績を意識したキャリアプランを選択する。転職でうまくいくWebディレクターの共通点はそこにあります。

38.学生のうちからWebディレクターの必要性を知っておこう

Webディレクターズガイドを読んで頂いている方にも、IT/デジタル業界を志望している学生の皆さんもいらっしゃるかと思います。ただ、残念なことに、IT/デジタル業界を志望していても、Webディレクターという職業がよくわからない、と思う人も多いのが現状です。Webディレクターは、自分一人でものづくりを行うことは基本的にありません。Webデザイナーのように、情報設計をしてグラフィックや、Webサイトのレイアウトをつくったり、エンジニアのようにシステムや、Webサイトを動かすプログラムを書いたりという作業が無いからです。

Webディレクターの仕事はチームを作り上げ、方向性を示して、チームを誘導することです。チーム全体のマネジメント、リーダーと考えるとわかりやすいかもしれません。Webデザイナーやエンジニアが、作り上げた各パーツを組み合わせてサービスを作り上げ、そもそもプロジェクトの目的が達成されるのか、プロジェクトが意図しているものとズレがないか、などを確認したりするのが主なミッションです。大雑把に言ってしまうと、プロジェクトを成功に導く請負人なのです。

デザイナー、エンジニアだけでもWebサイトは作ることができる。では、なぜWebディレクターというポジションが必要なのでしょうか。それはチームを組成し、常に同じ認識を持たせるためのコミュニケーションが必要だからです。もちろん、チームにはクライアントも含まれます。クライアントが本当に達成したい目的をぶらさずに、Webサービスへと落とし込んで、デザイナーやエンジニアと一緒に形にしていきます。また、チーム内のモチベーション管理も重要な役割の一つです。スポーツ系の部活を経験したことがある人はわかると思いますが、例えば大会で優勝するには勝つ!という気持ちを、チーム内で持続させ続ける必要があります。Webディレクターはプロジェクトにおいて、絶対に成功させるんだ!というチーム全体の気持ちを持続させる役割なのです。そのため、Webディレクターはプロジェクトを成功させるために、重要なポジションだと言えます。

Webディレクターがいることでチームのコミュニケーションが円滑になり、意思の統一ができてきます。結果として、プロジェクトの成功まで、チーム全体が迷うことなくまっすぐ進むことができるようになります。また、チームメンバーのモチベーションコントロールを行い、より良い質のOutputを生み出すために、さりげない気遣いや気配りをしていきます。専門性がないということで、悩んでいる学生も多々いると思いますが、気配りや目配りが得意だったり、立場が異なる同士の間を円滑にするコミュニケーションが得意だったり、そんな友達が就活で悩んでいたら、ぜひWebディレクターをオススメしてください。きっと活躍できる環境がありますよ。

39.優秀な人が多く育つWebディレクターの置かれる環境とは

事業会社しかり、制作会社しかり、第一線で活躍するWebディレクターは優秀な人が多いです。特に小さい規模の会社には「エース社員」と呼ばれるディレクターがいて、プロジェクトを牽引し、受託や自社サービスの事業を支えているケースがあります。時にスキルや信頼が個人依存しすぎて、逆にリスクになるケースがあるくらいの状況もあり得ます。そんな社員が育つWebディレクターの環境とはどんなものなのでしょうか。

一つは常にイニシアチブが要求される環境です。Webディレクターは経営者と同じく、孤独を感じやすいと言われますが、理由としては、そのやり方を誰からも教わりにくい環境があります。答えが無い環境もケースとして多く存在するので、自分自身の力で調べて、解決しなければいけない場面も多くあります。例えば、上司、クライアントの要望を実現するのに、制作チーム・開発チームとの意見が食い違ってしまう場合や、技術的に難しい場合、ディレクターがチームとして別の答えを用意する必要があります。その際、最も必要な要素がイニシアチブです。このイニシアチブを持つ責任感こそ、ディレクターとしてチームを牽引する大切な要素になります。

そして、もう一つはトラブル対応のための環境です。繰り返し前述していると思いますが、Webディレクターの業務範疇は幅広く、また常に手早く環境を整える必要があります。何か不具合が起きた際にはユーザー、上司、クライアント、制作、開発チームと様々な調整が必要になってきます。しかも全て早急に正確に、です。そんな際に、きちんと問題が何で復旧までのルートを正確に把握し、各所必要な情報を正しく伝えることが最も重要です。

先に挙げました2点は、どのような行動を取るかという点において、Webディレクターとしての重要な資質が鍛えられる環境があります。これは経営者の環境と非常に良く似ています。優秀なWebディレクターは、そもそも大変な環境を作らないような準備を整えつつ、有事に備えていつでも課題を切り分けて、バックアップできる体制を維持しています。そのような環境を整えているからこそ、イニシアチブを持って、新しいことを提案できる攻めの環境を作り出しています。様々な立場の異なる人々を横断し、トラブルが多い環境だからこそ、優秀だと言われる素養が身に付きやすい成長環境と言えるのです。

40.これからWebディレクターになるみなさんへ

さて、ここまでWebディレクターのあれこれを様々な視点で解説してきましたが、いかがだったでしょうか?これからWebディレクターになる人にとっては、大変な職業に思えるかもしれませんし、はっきりと職務がわかりづらかったりするかもしれません。逆にそんな環境のWebディレクターという職業に魅力を感じて頂ければ嬉しい限りです。

現状、国内にWebディレクターが何人存在するか、の統計的な数字は見当たりません。現場では、デザイナーをやりながら、営業をやりながら、など兼務もまだまだ多いのが現実だと思います。Webディレクションの書籍は何冊か出ていますが、どれも共通している内容としては「幅が広い」ということです。前述したように、Webディレクターは、プロジェクトリーダーとして、制作チーム・開発チームと一緒にプロジェクトマネジメントも行い、時に営業として提案する。経営者の視点をもって予算を管理し、時に解析ツールを扱いレポートを作成しながら、ライティングや写真加工の指示を出す。

Webディレクターとして第一線で活躍している人は、専門性という軸を持ちながら、マルチな能力を持っている人が多く、それぞれ仕事が良く出来ます。職業柄、視野が広く、案件を通じてインターネットのビジネスモデルを良く知っています。そして、様々な立場の人達を相手に話をしてきているので、コミュニケーション能力も高いです。Webディレクターとして活躍する要素を持っている人は、転職市場で非常に価値の高い人材となります。キャリアとして経営者になる人も多い職業です。そしてホスピタリティもあって、合コンもうまくセッティングができるとなると、引っ張りだこの存在になることでしょう。

Webディレクターという職業になる、ということは、目指した先にビジネスマンとして活躍できる幅広い選択肢が待っています。これからWebディレクターになるみなさんには、そんな有益な将来を目標に、ぜひ幅広い業界で活躍して欲しいと思っています。Web土方と揶揄されるWeb制作の環境も、確実に改善されてきています。ぜひWebディレクターを目指して、自分のスキルアップ、キャリアアップを行なっていく環境で頑張っていきましょう。